えりアルフィヤ氏について

統一地方選と合わせて行われた衆院補選千葉5区では色々物議を醸した、えり(英利)アルフィヤ氏が当選した。

僅差であれ当選は当選。その結果は尊重されるべきであり、票数操作云々の陰謀論の類をすべきではない。

だが、あれだけの批判が集まるには当然理由がある。

本名とかニトリとか論点がズレていった感があるが、アルフィヤ氏の問題の根本は国運を担う、ひいては国政の最高責任者、内閣総理大臣になりうる国会議員になろうとするにもかかわらず「日本のために働く」と明言しなかったこと。更にその上、差別のレッテル貼りで返したことだ。

すなわち、「日本と中国が戦争になったとき日本のために中国と戦えるか」という質問に対し「差別的だ」のレッテル貼りで返した。動画を見た方はご存じだと思うが多分に感情的に。

アルフィヤ氏は元中国籍。

日本が次に戦争するのは十中八九、中国だ。そしてそれはそう先のことでもないかもしれない。アメリカ軍からは2027年までに台湾有事が起きるという見通しも聞かれる。

元中国籍のアルフィヤ氏が中国と戦争になったとき、日本のために生まれ育ったかつての母国、中国と本気で戦えるのか。むしろ中国のために働いてしまうのではないか。

不安や疑問を抱くのはごく当然ではないか。批判者の中には確かに感情的になっている者もいた。だが、根拠のないことを言っているものではない。

「心配ごもっとも。だが、帰化して日本人になった以上は、相手が中国であれ日本のために戦う」

そう答えれば済んだ話だった。

それすらせず、更に差別のレッテル貼りでは国民の不安や疑問は増大し、反感を持たれるのはやむを得ない。

アルフィヤ氏本人の言動も問題だが、彼女を支持する自民党支持者の対応も同様だった(アルフィヤ氏は自民党公認候補)。

 

アルフィヤ氏支持者・自民党の支持者について

まず、「アルフィヤ氏はきちんと日本のために戦うと言っている」というもの。

これはどの発言のことを言っているのかよくわからない。SNSでそのような投稿をしていたようだが、それのことだろうか。

彼女に不安を持つ国民は、彼女の口から覚悟のほどを聞きたかったのではないか。それをせず、批判が大きくなってから本人が書いているかもわからないSNSで投稿されて、「もう不安は払しょくされたはずだ、批判するな」と言われて納得しろというのは無体な話ではないか。

「ブログで本人が説明している」というものもあった。

これも、どのブログ記事のどの部分で言っているのか。関係のありそうな記事を読んでみたが、相手がかつての母国であってもなりふり構わず日本のために戦う、働くという趣旨の部分は見当たらなかった。

我が国日本の主権と領土・領空・領海を守り抜く、防衛費を増額する、憲法に自衛隊を明記するといった部分だろうか。これは不安を持つ国民への説明とは趣旨が違うだろう。

ゆえに、「本人の口からきちんと説明してはどうか」という意見も出てくる。中立的な立場の人が本人に直接インタビューしてはどうかという具体的な方法を示している方もいた。

だが、これに対する支持者の反応も「本人が説明済みだ」といったものだった。

私も、アルフィヤ氏を支持したいのなら本人の口から直接説明するよう促すのが良いと思っている。彼女のSNSもブログも説明になっていない。そう受け取っている国民は少なくないということだろう。

それでもあれが説明になっている、アルフィヤ氏を支持するというのなら、それはそれで本人達の自由だ。支持するというのをするなというのは、そもそも不可能だ。

それならば逆に支持者も批判者に「説明になっていないという意見ですか。だが我々は説明になっていると思う。見解の相違ですね」で済ませれば良い。

あるいは、立憲の候補者が当選するよりはマシだという考え方なら「確かにアルフィヤ氏は極めて問題がある。それでも立憲に当選させるよりはマシなんだ。どうか選挙では自民党のアルフィヤ氏に投票してほしい」と言えばよかった。

だが、そのどちらでもない。

それどころか、不安を払拭できない国民に噛みついて回る。しかも感情的なものが多く見受けられた。率直に言って、立憲あたりの支持者を見ているようだった。

実際見受けられたのは、限界保守、ネトウヨ、そして左派系の政党団体の常套句「差別」のレッテル貼り。

出自差別というが、仮に中国人が下等民族だからとでもいうなら確かに差別だ(実際は中国人の方が日本人含めたアジア諸国民を見下し差別している)。

だが、繰り返しになるが、アルフィヤ氏に対する不安、疑問は「日本と自身のかつての母国が戦争になるような場合でも(しかもその可能性は決して低くなく、そう遠い先でもない)、日本のために戦えるのか、真に日本のために働いてくれるのか」というものだ。差別でも何でもない。

これを差別というのなら、帰化1世が大統領になれないアメリカも出自差別の国ということになる(移民国家であるアメリカでさえ、このような制限がある。日本はない)。

不安や疑問、批判の内容に正面から答えずレッテル貼りで返し、問題の根本から国民の目を逸らそうとする。自民党候補者も自民党支持者も。これは立憲あたりの専売特許な訳ではないということなのだろう。

それでも「いや、レッテル貼りではない、そのような不安を抱くこと自体も差別なのだ」というのなら。

差別されているのは、ごく当たり前の感情を抱くことすら許されない、我々日本人の方だろう。

 

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