自衛隊を「憲法」に明記すべく、「憲法」改正をするという意見が安倍首相、自民党から出されている(だから自主憲法制定はどこへ行ったのか)。

「現行憲法」において9条の文言に反するという意味では、確かに自衛隊は違憲だ。

⇒自衛隊の合憲性

故に、自衛隊違憲論を主張する憲法学者達(きちんと憲法に位置づけろというのではなく自衛隊を廃止しろという主張)がいまだ存在する現状に鑑みても、自衛隊の憲法明記は、やらないよりはやった方がマシではある。

だが、同じ時間と労力と費用をかけるなら、普通に軍として規定すればいいのにと思うのは私だけではないだろう。

自衛隊を「憲法」に明記しても、まだ諸々問題は残る。

 

自衛隊の「憲法」明記の具体的内容について、現在の条項に自衛隊の設置を追加するのだという。

それでは結局、9条2項前段の「戦力」、後段の「交戦権」の否定や、76条との関係で軍事裁判所(軍事法廷、軍法会議)設置の問題が残る。

 

安保法制・集団的自衛権のような防衛法制が新たに必要になっても9条に反する。

北朝鮮に直接乗り込んで拉致被害者を救出することも9条に反する。

竹島、北方4島、千島・樺太の奪還も9条に反する。

尖閣に侵略してきている中国船の出撃拠点の港を叩くことも9条に反する。

海外にジブチのような軍事拠点を持つことも9条に反する。

防衛費の増大も9条に反する。

 

今までと何ら変わらない、下らない「憲法論議」が続くのは目に見えている。

 

そして、この改正はあくまでも「自衛隊」を規定するに過ぎない。

故に、「自衛隊は呼び方が違うから軍隊ではない」という、解釈という名の虚構は依然残り続ける。

 

自衛官を軍人と呼ぶことも9条に反する。

隊歌を軍歌と呼ぶことも9条に反する。

音楽隊を軍楽隊と呼ぶことも9条に反する。

隊友会を戦友会と呼ぶことも9条に反する。

 

「わが国に軍隊は存在しない。故にお前達自衛官は警察官の延長であり、軍人ではない。だが一朝事あらば軍人と同様の責務を負って軍人と同じく戦え。死んでも戦死ではなく公務死とでも扱うが」

こんな理不尽があるか。

こんな虚構を、これからも続けるのか。ふざけるのも大概にしろ!

 

自衛官に祖国を守る武人、軍人としての最低限の名誉を与えることすらできない「憲法」改正。

そんな「憲法」改正でも、上述の通り、やらないよりはやった方がマシだ。故に反対まではしない。

だが、1日3億円ともされる国会の運営費をかけてまでやる事とも思えない。

選良の国会議員の先生方に置かれては、公民館でも借りて、そこで好きなだけ改憲論議をやって頂きたい。

そして、発議が終わったら、結果が出たら発表して頂きたい。途中経過の報告という名の、改憲論議してますよアピールは必要ない。見飽きたし、聞き飽きた。アピールするだけして先送りをどれだけ繰り返して来たか。

発表があったら、国民投票で国民が改正の是非を判断する。

 

判断事項は以下の通りだ。

「自衛隊の存在はどう見ても憲法の文言に反する。呼び方が違うから軍隊ではないという誤魔化しを70年続けてきたが、もうこれ以上そんな誤魔化しは続けられない。改正しないのであれば自衛隊は廃止する。憲法改正に賛成か反対か」