判決言渡し
以前からお伝えしてきました、茨城県の外国人職員採用に対する住民訴訟の判決が12月25日、水戸地裁で言い渡されました。
判決は請求棄却。
応援いただいた皆様には、そのご期待に答えられない結果となりましたこと、お詫びします。
ただ、敗訴でした、で終わりではなく、少々大げさな表現かもしれませんが、主戦場が別の場所に移るにすぎないと考えています。
判決の捉え方
裁判所は、基本的に政策判断に口を挟みません。
民主制の元、政策は国民が選出した議員なり首長なりが定めるものとされています。
選挙で選ばれたわけではない裁判所は、その国民の判断をできる限り尊重し、ただ行き過ぎがあるときや国民の重大な権利利益の侵害になるような場合に、個別に是正・救済を図るものとされています。
今回のような地方自治体における人事制度も同様です。
外国人の地方公務就任権については、政策形成に関わるものや住民の権利利益に重大な影響を及ぼす公務以外の公務は外国人にも就任権が認められるとされています。
そこで、私は、任期付きというだけで、その待遇、地位(主任)から事実上の正職員というべきであり、単なる補助的な職務とは言い難い。政策形成に関わりうる。
単純に外国人職員が1人採用されれば日本人たる茨城県民が1人、県職員になる機会、生計を立てる機会を奪われるのであり、県民の利益に重大な影響を及ぼす。
安全保障上重要な施設である空港(茨城空港)業務に、よりによって安全保障上極めて問題のある国、中国、韓国の国籍保有者を携わらせることは県民の安全にも重大な影響を及ぼす恐れがある。
以上の理由を挙げて採用の違法を主張しました。
これに対する裁判所の判断は、概ね、あくまで規定された職務内容、権限を基準に補助的な職務にとどまる、採用は違法ではないというものでした。
すなわち、上記の理由は事実上のもの、政策判断の範疇のものであり、この点にどのような対処するのかは、県民から選出された知事、県議が判断すべきという趣旨と捉えられます。
くだけた言い方をすれば、「規定された職務内容からすれば外国人職員採用が違法とは言えない。ただ、適法性≠適切性ではない。この採用が適切か、今後も採用するかは知事や県議会で判断してくれ」ということとなります。
今後の対応
この裁判で違法の判断が得られれば、それで決着がつき、話が早かったのですが、外国人職員の問題は、今後は知事、県議会・県議への働きかけにより対応していくこととなります。
根本的には国籍条項を条例により導入すべきですので、やはり主戦場は県議会になるでしょう。
実際上、外国人職員は県民だけでなく、知事、県議会・県議にとっても重大な問題です。
規則や条例等で政策を定めても、母国にアイデンティティを持ち、その法令に従わなければならない外国人職員に実現を妨げられたり歪められたりしたのでは意味がありません。
来年には茨城県知事選が、再来年には茨城県議選が予定されています。
知事、県議は誰もが県民のための政治を標榜しますが、本当に県民の方を見ているのか。
そもそも今回の外国人職員採用については、一県民に住民訴訟を起こされるまでもなく、県議会、せめて個々の県議の中から制止する動きが出てきてほしかったところです。
もしも今回の判決について「裁判所の判断を尊重する」として何等の動きもしないとなれば、それは政策形成という自らの責務を放棄するものといえます。
今回の裁判は、知事なり県議なりのスタンスを判断する材料の1つに、一種のリトマス紙になります。