安倍晋三元総理暗殺事件

統一教会は本質的な問題か

安倍晋三元総理が暗殺されてから4か月が過ぎた。

マスコミは統一教会で馬鹿騒ぎ、政治家もそれに呼応している。しかも政治家でも左派政党は分かるが保守政党自民党も同様だ。

統一教会との縁を完全に断ち切るというのならそれは自民党の自由だが(完全な絶縁は不可能だとは思う。自党を支持させないという事は出来ない)、現在公称で会員6万人の統一教会との関係を断ち切って何か大きく変わるものでもない。

そもそも本質的な問題は統一教会云々ではないはずだ。

安倍元総理暗殺事件は、民主政の根幹をなす選挙の真っただ中に現役の国会議員にして元国政の最高責任者が殺害された、民主政の過程が暴力により毀損されたというもの。

論ずべき点は今後このような事態を再び生じさせないためにどうすべきかのはずだ。

安倍元総理暗殺事件は、左派の自己矛盾、ご都合主義、暴言・暴力を容認してきたことの積み重ねの上にある。

昔から左派は自分の意に沿わない、都合の悪い相手や主張を暴言・暴力で封殺しようとしてきた。

安倍総理に関しても、安倍死ね、安倍を叩っ斬る、安倍を監獄への暴言の数々に、安倍総理の人形をブルドーザーで轢く、太鼓に模して叩く等々の暴言暴力を繰り返してきた。

しかもそれを一般人だけでなく公選の議員という公人、大学教授、ジャーナリストといった社会的地位のある者までもが一緒になってやっていた。

そのような言動に感化され、自分も憎む相手を殺しても構わないと思うに至る人間が出てきてもおかしくない。ましてや「偉い人」がやっているなら尚更だ。

山上容疑者の犯行は左派に感化された、左派がテロへのハードルを下げさせたことが大きな原因の1つと言える。

そうであるなら、真に同じような事件を起こさせない為には、これら左派の言動が原因であることを国民に知らせ、またその責任を追及しなければならない。

だが、保守自民は左派に呼応して問題の本質から国民の目を逸らすような行動を続けている。

この行動に首を傾げる方は当然多いが、私は素直に左派を守るためと考えている。

 

戦後体制(レジーム)

戦後体制、戦後レジーム。

安倍元総理も含め政治家や識者が時折口にする言葉だ。

その説明の仕方は色々あるだろうが、自分なりの考えは、戦後体制とは保守と左派の権益共同体制だ。

保守と左派が相互の利益、利権、地位、特権等々を保障し合う体制。

先ほどから保守という言葉を使っている事に異議をお持ちの方もいるかと思う。実は最初は「ここでいう保守とは〇〇という意味で」という使い分けをしていたのだが、ごっちゃになって非常に読みづらくなってしまった。

循環論法じみてしまうのだが、この記事で保守という時は戦後体制を守り保ちたい、体制保守の意くらいに受け取っていただければと思う。保守、リベラル、右、左といった概念は独り歩きし混沌としている感があるので、別途整頓を試みてみたい(正直自信はない。本記事さえ何度も書き直した)。

また、保守、左派の分類は当然政治に限らず、報道、学術、言論など様々な分野でもあるが、ここでは政治面を主に取り上げたい。

 

あるいは売国と反日

さて、保守と左派の共同体制というと違和感を覚える向きもあるかもしれないが、別段突飛な事を言っている訳ではない。

平成7年の、保守政党・自民党と左派政党・社会党の大連立を思い出していただければイメージが沸くのではないか。

自社大連立と聞いてピンと来ない方も増えてきているかもしれないが、現在で例えるなら自民党と立憲民主党が連立を組むようなものと考えていただければいい。立憲民主党の前身が社会党だ。

この自社大連立の際、自民党と社会党の議員複数人が談笑している映像がテレビで流れていた。

そこでは社会党の議員が、「連立前の協議の際、彼(自民党議員)から「私有財産制を認めますか」と問われてねえ」と笑っていた。

その時は何となしに見ていたのだが、自民党にとって、それが最後の最重要の確認事項だったのだろう。

保守政党自民党が守り保ちたかったのはあくまで資本主義、ひいてはその制度下の自らの財産、利益、利権、特権、地位であり、日本の事は二の次だった。売国という奴だ。実際、この最悪のタイミングで阪神淡路大震災が起き、助かったはずの多くの命が失われた。

他方、左派にとっては日本の赤化の可能性はほぼゼロとなっていた。彼らの革命の夢は潰え去った。そしてプロポーズを断られた男の相手の女性への逆恨みのように、自分達の思想を受け入れなかった日本に、日本人に敵意を向けた。左翼から反日に転化した。

保守政党自民党にとって資本主義云々さえ守られるなら左派とは対立する必要はない。むしろ反日に転化した左派は売国・亡国政策を批判しないどころか、後押しさえしてくれる頼もしい味方、大事なパートナーとなった。

保守と左派の共同体制は、あるいは売国と反日の共同体制と言い換えてもいいかもしれない。

 

移民政策

その共同体制の現れを挙げるなら、まず、移民政策だ。

移民政策が亡国に繋がりかねない政策であることは言われるまでもないと思う。これを推進しているのは保守政党自民党。

そして、本来の左翼であれば、このような労働者の雇用や生活、女性や子供の安全を脅かす政策には断固反対していなければならないはずなのだ。

だが、反日に転化した左派は日本を破壊し日本人を脅かせるこの政策に文句などあろうはずがない。むしろ積極的に後押しさえする。頼まれずとも、この政策の危険性を指摘し反対する人に差別主義者のレッテルを貼り、言論封殺をしてくれる。

 

アイヌ先住民決議・アイヌ新法

また、アイヌの先住民族決議、そしてこれに基づくアイヌ新法が挙げられる。

ご存じの方も多いと思うが、ロシアが、アイヌはロシアの先住民族だと言い出した。

これらの決議、新法は、ウクライナで似たような方法が採られたように、「日本国内にいる自国民(アイヌ族)を保護する」という名目でロシアが日本へ侵攻する口実になる危険性を有している。

にもかかわらず、このアイヌ先住民決議は全会一致、保守政党、左派政党挙げて行われた。彼らはこの決議が外国の侵略の口実として利用される危険があることは間違いなく認識していたはずだ。前例はいくらでもあるのだから。

この決議の推進役となったのは、現在もロシアに度を超えた肩入れをしている保守政党、日本維新の会の国会議員だが、その肩入れの理由はロシア利権によるものだろう(実際刑事事件になるほどの入れ込みようだった)。

他方、きちんと公平に(?)左派にも利権は分配されている。アイヌ新法による補助等の受益団体に左派活動家が散見される。それもあってそのような左派団体や左派系メディアもこの決議を後押しした。左派の心の祖国、ソ連の後継国家であるロシアの日本侵略の手引きにもなる。

ちなみに日本侵略の口実にするという手は中国も使う事が出来る。「アイヌも中華の少数民族だ、これを保護する」というように。

 

対中支援

その中国に関しては支援利権が挙げられる。保守政党自民党は、外国から「日本は自らの首に巻く真綿を中国に献上している」と揶揄される多額の支援を行った。左派は歴史に関する反日プロパガンダで側面支援する。

 

そんな左派だからこそ、保守政党自民党は、あれだけ批判されている左派の暴言、暴力、プロパガンダ等々を批判せず黙認し、不作為で支援する。

元総理、それも自党の元総理総裁の暗殺という重大事件が起きても、だ。

 

全体主義

仮にここで左派の責任を徹底的に追及し攻撃して、左派が壊滅してしまったらどうなるか。

その穴を埋める形で新たな勢力が伸長してくる可能性は十分にある。だが、その勢力が移民推進や外患誘致といった亡国政策を批判しないどころか後押しさえしてくれる「話の分かる」勢力だという保証はない。

自民党、自由民主党は自由と民主を謳いながら、どうして左派の言動を黙認し守り、不作為で支援しているのかと言えば、自民党にとって戦後体制を守り、ひいては自らの権益を守るために、それが必要だからだ。

 

逆またしかりだ。

仮に統一教会が本当に自民党を壊滅させるような大問題だとして、左派の追及の結果、自民党が壊滅したらどうなるか。

当然その穴を埋める形で新たな勢力が伸長してくるだろう。その勢力が左派の暴言、暴力、プロパガンダ等々を黙認してくれる「話の分かる」勢力だという保証はない。

故に冒頭で述べた通り、統一教会は大騒ぎするような問題ではない。これも循環論法じみてしまうのだが、自民党を揺るがすような大問題ではないからこそ、左派は大騒ぎできる。

 

安倍元総理の国葬について、どうしてマスコミ、殊、左派メディアの反対キャンペーンに対してきちんと反論しなかったのかという批判への説明も同様に考えることができる。

外交的効果も狙ったのであれば詳らかにできなかった面はあるだろうが、根本的には危機的立場に立たされた左派を守るべく、左派に見せ場を作ってやる、「成果」を出させてやる、花を持たせてやる為だったと考えている。「我々が主張するように国葬反対派が多数になったのに、岸田政権・自民党はこれを押し切って国葬を強行した」という演出ができるようにするため。

 

唐突に出てきたAV新法もだ。元総理暗殺に比べればスケールが小さくはなるが、それでも多くの人の生活に関わるもの。この新法の問題点は内容的なものではなく、肝心の当事者から碌に聞き取りをせず、左派の働きかけに自民党が呼応して成立させたことだ。

これも、左派に見せ場を作ってやる、「成果」を出させてやる、花を持たせてやる為だったと考えている。「我々の活動のおかげで女性のAV被害が阻止された」という演出が出来るようにするため(繰り返すがそのような被害について肝心の当事者からは聞き取りはされていない)。

なお、この新法の根本には、価値のある表現、価値のない表現を政治家が分類し、価値のない表現は封殺することができるという認識がある。これはいわゆるヘイトスピーチや表現規制に通ずるものがある。

 

そして、現在、かねてからの左派の主張に呼応して、自民党は夫婦別姓導入に向けて動き始めている。

自民党に投票してきた国民の多くは保守政党を称する自民党なら、このような夫婦別姓導入は拒否してくれるだろうと考えて投票しただろう。

にもかかわらず、野党が主張するから、党内の左派が主張するからと導入に向けて動き始めた。

野党が主張するからというのは本来理由にならない。そのような主張をする野党、左派政党だからこそ、そのような政党には投票せず保守政党自民党に投票したのだ。これでは政党に対する投票という行為が意味をなさなくなる。

党内の左派が主張するからというのは更に理由にならない。どうして保守政党に左派がいるのか。共産党に資本主義者がいるようなものだ。

結局、保守政党も左派政党も利害の共通化により一体化しており、保守政党自民党に投票しても、その票は左派政党の主張を実現するためにも利用されてしまう。

 

言ってしまえば、保守政党も左派政党も、既成政党はその全てで1つの大きな政党のようなもの。

 

結果、どういうことになるか。

実質的に国民に選択肢がなくなる。

例え形式上選挙自体は行われていても、実質的に国民に選択肢がない体制を何というか。

全体主義、だ。

戦後体制は保守と左派が国家国民を取引材料にして権益を分け合う全体主義体制とも言える。

 

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